1970年代に流行していた「モニエル瓦」。
聞き馴染みの無いという方もいらっしゃるかと思いますが、現在でも使用している住宅もあります。
しかしながら、2010年に製造が終了し、手に入りにくい状態となっています。
そんなモニエル瓦の屋根のヒビ割れの修理方法について紹介します。
モニエル瓦とは
ヨーロッパ発祥のセメント瓦の一種で、セメントと川砂を混ぜて作られています。
一般的なセメント瓦には防水性はないため、必ず塗装が必要になってきますが、
モニエル瓦は表面に着色スラリーと呼ばれる着色剤を厚めに、
さらにその上にアクリル樹脂系のクリア塗料を塗るため、高い防水性を備えています。
また、断熱性や耐震性も高いため、当時は人気を博していました。
ひび割れなどの劣化の補修方法
ひび割れの劣化に対する補修方法として考えられるのは、塗り替えによるメンテナンスと葺き替え工事になります。
<屋根塗装を行う場合>
・スラリー層を取り除く必要がある
塗装を行う場合、モニエル瓦の表面に施してある「スラリー層」をしっかり取り除く必要があります。
もし劣化したスラリー層の上から塗装をしてしまうと、
古いスラリー層と一緒に塗膜が剥がれてしまう可能性があります。
そのため、施工前に高圧洗浄などで確実に除去しましょう。
・専用の塗料を使う
モニエル瓦には、専用の塗料があります。
もし専用でない塗料を使うと、早期劣化や施工不良になりかねないので、
しっかりチェックしておきましょう。
●スラリー洋瓦用シーラー(水谷ペイント)
劣化した乾式洋瓦の脆弱なスラリー層に浸透し補強、
優れた付着性を発揮する塗料です。
速乾性があり、工期が短くなります。
また、優れた作業性、施工性を発揮します。
●ヤネフレッシュSi(エスケー化研)
耐候性、防カビ・防藻性の高さに定評のある塗料です。
浸透性、密着性、隠ぺい力にも優れており、下地の透けがありません。
また、ハケ、ローラー、エアレスで使えるため、施工性にも優れた塗料です。
●モニエルパワープライマー(アステック)
スラリー層への浸透性に優れており、
塗膜剥離等の表面劣化を抑えることができます。
また、水性塗料なので環境にも配慮した塗料です。
上塗り材に溶剤系塗料の使用も可能なため、
選べる上塗り塗料のバリエーションも増えます。
先ほども述べたように、モニエル瓦は製造されていないため、ひび割れた瓦を差し替えることは困難です。
そのため、軽度のひび割れであれば、コーキングなどで補修し屋根塗装を行うに止まりますが、
ひび割れがひどかったり、枚数が多い場合は、葺き替え工事を行う方が良いかと思います。
葺き替え工事をするのであれば、より軽くて防水性や断熱性の高いものに変えられるので、
今よりも快適に過ごせるのではないでしょうか。
補修方法
モニエル瓦は基本的に塗料の塗り替えで補修していきます。
小さなひび割れや剥がれなどは、そのまま塗料を被せてしまえば問題なく埋まるため
そこまで心配しなくても良いでしょう。
ただし、ひび割れがある程度の大きさや深さになっている場合は、
コーキングを使って埋めていき、その後塗装を塗り被せていくという方法が多いです。
様々な劣化などがありますが、大切なのは、
少しでも劣化や破損が確認できた段階で、早め早めの対処をしていくことが、
モニエル瓦を最大限活用していく鍵になります。